最近、アクセス解析を見ていて、ある面白いことに気づきました。植物の名前や成分名など、多くのキーワード検索で「精油の学習帳」に訪問される方が多いのですが、ダントツで多く検索されている言葉が、「禁忌(きんき)」なのです。
この言葉を打ち込むとき、皆さんの心には、きっと「純粋な好奇心」以上のものがあるのではないでしょうか。
検索窓に打ち込まれた「目に見えない怖さ」
- 「天然だから安全だと思っていたけど、実は副作用があるの?」
- 「ネットの情報はバラバラ。何を信じれば、自分や家族を守れるんだろう」
- 「もし自分の一滴が、大切な人の持病を悪化させてしまったら……」
アロマテラピーを始めて、私たちが最初に体験することの一つに、「天然成分だからこそ、取り返しのつかないことが起こるかもしれない」という得体の知れない不安もあると思います。その不安が、薬の注意書きのような強い「禁忌」という言葉を私たちに探させるのかもしれません。
でも実は、そんな思いとは裏腹に、AEAJ(日本アロマ環境協会)の公式テキストを開くと、この「禁忌」という言葉、驚くほど出てこないんです。
AEAJが「禁忌」という言葉を使う場所
実際にAEAJの公式サイトで「禁忌」と検索してみてください。
ヒットするのは、たった一件。「病気による禁忌」という項目だけです。
そこにはこう記されています。
「医師による治療を受けている場合や、薬を処方されている場合は、必ず当該医療機関に相談してください」
(公社) 日本アロマ環境協会 | アロマを楽しむ | アロマテラピーとは | 安全に楽しむために
ここだけなんです。 初めてこれを見た時、「もっと具体的に『〇〇の病気の人は××の精油はダメ』と書いてほしいのに!」と、突き放されたような気持ちになった方もいるかもしれません。
でも、プロ視点でこの一文を読み解くと、そこには強い責任感と、ある構造が見えてきます。
「雑貨」という枠組みが守っているもの
日本において、精油は法的に「雑貨」という扱いです。
ヨーロッパのように医師が処方する「メディカルアロマ」の世界とは、土俵が全く異なります。
実際街を歩いていると、最近は精油の専門店も増えてきていますが、インテリアショップやドラッグストアなどの雑貨屋さんの一角に、精油コーナーが設けられていることも多いかと思います。
アロマテラピーのプロ視点での考察
アロマテラピーインストラクターmatsuとしては、このように考えています。
法的に雑貨という枠組みである以上、そもそも体に重篤な影響を与えるような使い方は推奨されるものではありません。 AEAJが『禁忌』という医学的な言葉を避け、使用上の『注意』という表現に留めているのは、『私たちのルール(濃度や使い方)を守っている限り、医学的なリスクが発生する域には踏み込ませない』という安全設計の証なのではないでしょうか。
唯一「禁忌」という言葉を使って医師に判断を委ねるのは、そこが「雑貨」の範疇を超え、「医療」の領域だからです。 「取り返しのつかない事態」を絶対に起こさないために、あえてそこで線を引いていると読み解けます。
受験生が「注意」の裏にある「理由」を知るべき理由
将来的にアロマテラピーの知識を深め、プロになろうとしている方にとって、この「言葉のズレ」を理解することは、試験合格、そしてその先の活動において非常に重要です。
「禁忌=ダメなこと」と丸暗記しようとすると、苦しくなります。 そうではなく、「なぜこの精油には、この『注意』が必要なのか?」という背景(成分の性質など)に目を向けてみてください。
例えば、ベルガモットの光毒性や、特定の精油が持つ肌への刺激。 これらは、「雑貨」としての安全な範囲を維持するために、私たちが絶対に守るべき「境界線」です。
そして、その境界線を守るための最大の知識のひとつが「希釈(きしゃく)率」です。 AEAJが「1%以下(顔の場合は0.5%以下)」という濃度をこれほどまでに強調するのは、それが「家庭で安全に、かつ豊かに楽しむための数字」だからです。
背景にある成分や理由を理解して覚えることは、単なる暗記よりもずっと記憶に残りやすく、何より自信を持って精油を扱えるようになります。
不安を「安心」に変えるために
「精油の禁忌」に過度に怯える必要はありません。 大切なのは、その裏にある「なぜ?」を正しく知り、適切なルール(容量や濃度)を守る配慮を持つことです。
どうしても不安が拭えない時などは、AEAJの公式サイトにある以下のページも活用してみてください。そこには、長年積み上げてきた安全への知恵が詰まっています。

