「いつもと違う精油を楽しみたいけど何から試したらいいか…」とお悩みではありませんか?
100本の精油を前にしても、結局いつもの香りに落ち着く。そんなワークショップでの一コマから、定番から「少しだけずらす」新しいアロマテラピーの楽しみ方を考えました。
ラベンダーやスイートオレンジから手を広げたい、でも失敗したくない。そんな方に向けた、次の1本の見つけ方。ぜひ、あなたの香りの地図を広げるヒントにしてください。
週末の午後、ときどき自宅に友人を呼んでアロマのワークショップをしています。 今回は、天然の蜜蝋(みつろう)を使ったヘアワックス作り。テーブルにはガラスボウルなどの器材と一緒に、私が集めてきた精油のボトルを並べます。
気づけば精油のコレクションは100本近くになってしまいました。定番のものはもちろん、ちょっと珍しい和精油や、特定の地域でしか採れないようなものまで。友人はどんな反応するだろう? と、私も楽しい気持ちになります。
「今日はどれでも好きな香りを使っていいから、ゆっくり選んでみてね」 そう伝えると、友人は少し驚きながらも、うれしそうに瓶の山を眺め始めました。
私はアロマテラピーの専門家として、皆さんがどの香りに興味を持つのかを見るのが密かな楽しみです。「今日はちょっと疲れているみたいだから、落ち着く香りを選ぶかな?」とか、「明るい気分になりたいのかな?」と、その方のコンディションを想像しながら見守ります。
友人はいくつかの瓶を開けて、じっくり香りを確かめていました。「あ、これいい匂い!」「これはちょっと不思議な感じ」と、100本の精油たちの個性を一つひとつ味わっている様子。
迷っている様子の友人にさりげなく、「頭皮ケア作用のあるローズマリーベルベノンはヘアワックスにおすすめ」と専門家としての助言もしました。
でも、数分後。 彼女が「これにする!」と決めたのは、「オレンジスイート」と「ラベンダー」の組み合わせでした。
もちろん、それは間違いのない「すごくいい香り」です。オレンジの明るい香りに、ラベンダーの落ち着いた雰囲気が混ざるのは、私も大好きなブレンド。 でも、100本もの精油たちが目の前にある中で、結局どこでも手に入りやすい定番の香りが選ばれるのを見ると、私としては「他にも面白い香りがたくさんあるのにな」と、少しだけもったいないような気持ちになります。
そんな私の心情をよそに友人は「やっぱり、これが一番安心するんだよね〜」と満足そう。 たしかに、嗅ぎ慣れた香りには、私たちの心をホッとさせる力があります。脳が「これは知っている、いい香りだ」と分かっている安心感。それは、アロマを楽しむ上でとても大切なことなのかもしれません。
実は私も、アロマを始めたばかりの頃は「ラベンダーがあれば十分」と思っていました。 誰にでも好まれるし、安全で失敗がない。そんな「安心できる正解」の中にいるのは、とても楽で心地よいことだったからです。
でも、アロマテラピーの専門家として100本の香りと向き合うようになった今の私は、その「安心感」の少し先にある、面白い世界を知っています。 定番の香りも素晴らしいけれど、そこから一歩ずれてみるだけでも、もっと自分にぴったりくる「運命の香り」に出会えることがあるんです。
そんな「一歩先の楽しさ」や「精油の奥深さ」を、多くの人にもっと身近に感じてもらえたらいいな、と日頃から思っています。
もしあなたが、「いつも同じ精油ばかり選んでしまう」「でも、全然知らない植物はちょっと怖い」と感じているなら。
無理に冒険する必要はありません。 まずは、今お気に入りの「いつもの香り」から、「似ているけれど、少しだけ個性が違う」精油へ、少しだけずらしてみてください。 それだけで、いつものアロマ体験がぐっと新鮮なものに変わりますよ。
「いつもの」お気に入りと似てるけど違う、身近な精油を入り口にした、新しい扉を開く4つの提案です。
同じ柑橘系ですが、マンダリンはオレンジよりも「果実の柔らかさ」が際立つ香り。オレンジの元気な印象に、穏やかな甘さを足したような雰囲気です。
ビターオレンジの花びらから採れる贅沢な香り。ラベンダーのハーブ感とは違う、上品で甘い花の香りが特徴です。
ミントには実は数百種類もの品種がありますが、このベルガモットミントは柑橘のような爽やかさが混ざった、珍しいタイプです。
定番人気と聞くけれど、イランイランは「香りが強すぎて苦手」という人も多い精油です。蒸留する時間によってグレードが分かれていて、「エクストラ」は一番最初に抽出された、最も上質な部分です。
「いつもの」と似ているけれど、どこか違う。 その微かな違いを見つけたとき、植物の持つ深みをより身近に感じられるようになるはずです。
アロマは決して特別なものではなく、日々の生活をちょっと豊かにしてくれるツールです。知識を詰め込むよりも、「あ、この香りはあっちに近いかも」と、楽しみながら自分だけの地図を広げていく。それこそが、アロマの本当の醍醐味なんじゃないかな、と思っています。
まずは、本ブログにある精油データを眺めて、化学成分や効能、ノートや系統などから気になる「お隣さん」を探してみてください。きっと、あなたの日常を新しく彩ってくれる香りが、すぐに見つかるはずです。
公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクターであるmatsuが自ら使っているものや信頼できるメーカーの精油たちをご紹介します。
私は夜眠りにつくのが難しい時があって、アロマの力を借りないわけにいきません。睡眠時はレッドマンダリンとスイートマジョラムを軸にして、他2、3種類を気分に合わせて調合したスプレーを使っています。
レッドマンダリンは、完熟した状態の実を抽出します。普通のマンダリンに比べて、成分や作用に大きな違いはありませんが、レッドマンダリンの方がより鎮静が働き、香りはやや重みが増す印象があります。
精油を買い揃え始めると、メーカー毎の違いにも気がつくようになります。フィネッサンスの精油はどれも好みなので日頃から愛用していますが、ネロリは高価格帯の精油なので、やはり特別な時に使うことが多いです。
リフレッシュやリラックス目的で使うのはもちろんですが、顔や体のケアに使うのもおすすめしたい使い方です。
ベルガモットミントは、アロマクラフトのワークショップで初めて知った精油でした。ミント自体のスカッとする香りにベルガモットの甘さが加わって、瞬時に虜になってしまいました。
特に夏場の湿度の高い季節にぴったりです。ペパーミントとベルガモットをブレンドして使うというのも良いと思います。
イランイランは有名ブランドの香水にも使われていますし、安全性も高いため、ファンの多い精油です。
ただ、私は独特の強い香りがどうしても苦手で、なかなか手が出せない状況でした。プロとしてイランイランを語れないのはどうかと思いつつ、売り場に行っては自分に合うイランイランを探していました。
そして出会ったエクストラは、ガラッと印象を変えるほどのインパクトがあり、香水に使われるのを心から納得することもできました。普通のイランイランに比べて複雑で奥深い香りなのがアロマ玄人感を醸し出します。